眉下切開が保険適用になる場合はどんな時?
目次
眉毛下切開は、美容治療に分類される治療法なので、基本的には自由診療(保険適用外)です。しかし、特定の条件を満たした場合のみ、保険適用で受けられるケースがあることをご存じでしょうか?
眉毛下切開を保険適用で受けられるかどうかは、医師の診断によって決まります。本記事では、どのような場合に眉毛下切開が保険適用となるかを解説していきます。
眉毛下切開が保険適用になるケース
眉毛下切開は基本的に保険適用外ですが、医師が眼瞼下垂(がんけんかすい)と診断した場合のみ、保険適用になるケースがあります。
眼瞼下垂とは、まぶたが下がってきてモノを見にくくなる状態のことで、眠そうに見える・モノが見えにくい・肩こり・頭痛・疲れやすいなどの症状があります。
眼瞼下垂の治療法は複数あり、保険適用で治療を行う場合は、挙筋腱膜(きょきんけんまく)前転法と言われる、眼瞼下垂の改善を目的とした治療法が適用されることがほとんどです。
これに対し、眉毛下切開は眼瞼下垂の改善とともに美容の要素が含まれていると判断されることが多いので、保険適用になるケースは比較的少ないでしょう。
保険適用で眉毛下切開が行われることもありますが、保険適用になる場合は医学的な観点から皮膚を切除して脂肪を取り除くので、デザインを自由に決められずに、思い通りの仕上がりにならないこともあると言われています。
「眼瞼下垂かもしれない」と気になる方は一度、眼科や形成外科で相談してみましょう。
美容目的の眉毛下切開は保険適用外になる
眉毛下切開が保険適用になるなら施術を受けたいと考える方は、多いそうです。しかし「目元をもっとスッキリさせたい」「若々しい印象の目元になりたい」といった希望がある方は、美容目的で眉毛下切開を受けることになるので、保険適用外になります。
眼瞼下垂と診断された場合でも、まぶたの状態によっては保険適用外となる場合があるので、カウンセリングでは正直な症状を伝えるようにしましょう。
無理に保険適用で受けようとしても、見た目の仕上がりやデザインにはこだわれないので、注意が必要です。保険適用での眉毛下切開だと、医学的な見地で治療を行うので、デザインを自由に決めることはできず、あくまでも眼瞼下垂を治療するための治療法となります。
眉毛下切開を行える眼瞼下垂(がんけんかすい)の症状とは
眉毛下切開は、まぶたのたるみや厚みを除去できるので、眼瞼下垂にも有効な治療法と言われています。ただし、眼瞼下垂の原因によっては、眉毛下切開が向かない場合もあるでしょう。
ここでは、眼瞼下垂の種類について解説していくので「眼瞼下垂かもしれない」と気になる人は参考にしてください。
生まれつきの眼瞼下垂
眼瞼下垂は、まぶたが下がってきてモノが見えにくくなる状態のことです。
年齢を重ねることで徐々に進行すると思われる方も多いですが、生まれつきの眼瞼下垂の方もいます。
生まれつきの眼瞼下垂は「単純性眼瞼下垂」と言われ、まぶたを上げる筋肉がうまく発達せず、硬く伸びにくい線維組織が多く混じってしまっている状態です。よくある状態としては、あごや眉を上げてモノを見ようとしたり、頭痛や肩こりがよく起こったりする方がいます。
大人になってからなる眼瞼下垂
大人になってからなる眼瞼下垂は、ほとんどが年齢を重ねることによって起きるタイプと言われています。
ハードタイプのコンタクトレンズを長年使用している人や、眼を開ける器械を使った眼の治療を経験している人に起こりやすい症状です。
まぶたを上げる筋肉は正常でも、筋肉がまぶたに付着する腱(けん)の部分が弱くなったりはがれたり、穴が開くことが原因と言われています。
大人になってから生じる眼瞼下垂には、他にもさまざまなタイプがあり、眼の病気の影響からくる場合、遺伝的な要因の場合、目元の傷が原因になる場合などがあります。
また、額にボトックスを入れた際に、眼瞼下垂の症状を感じる人も居ると言われていますが、3〜4ヵ月経つと元に戻る人がほとんどです。
以下のセルフチェックに当てはまる人で、症状が気になる場合は、医療機関を受診して確認してみてください。
眼瞼下垂をセルフチェックしてみよう
「もしかして……」と思う方は、セルフチェックで眼瞼下垂かを簡単に確認してみましょう。照明を明るくした鏡の前でチェックすることをおすすめします。
- 顔を正面に向ける
- 指で眉毛を押さえ、眉毛が動かないようにする
- そのまま目を見開く
この状態で、目が開きにくい場合や額に力を入れて目を開いてしまう場合は、眼瞼下垂が疑われます。しかし、このような症状が出ているからと言って、必ずしも眼瞼下垂とは断定できませんので、眼科や形成外科を受診するようにしましょう。
眼瞼下垂の治療法は2つある
眼瞼下垂の治療法には、一般的に以下の2種類の治療法があり、医師から眼瞼下垂と診断を受ければ、保険適用で治療を受けられます。眉毛下切開以外の治療法として、知っておきましょう。
挙筋腱膜前転法(きょきんけんまくぜんてんほう)
挙筋腱膜前転法とは、まぶたの二重ラインを切開して、まぶたを持ち上げる筋肉の筋膜を、裏側にある瞼板(けんばん)に固定して短縮させる治療法のことです。
眼瞼下垂の人は、挙筋腱膜が伸びたり外れたりしているので、瞼板に固定して短縮することで眼の開きが大きくなり、モノを見やすくできます。基本的に、二重ラインの上を切開して縫い付けるので、施術後はぱっちりした二重まぶたになる特徴があると言われています。
また、まぶたの筋肉は切らずに行える治療のため、リスクが少ない治療※と言えるでしょう。
※リスクが無いわけではありません。
ミュラータッキング法
ミュラータッキング法は、まぶたの裏側から瞼板とミュラー筋を折りたたんで、糸で縛る治療法です。眼瞼下垂は、ミュラー筋が伸びてしまったり、瞼板から外れたりすることで起きると言われています。
ミュラー筋は瞼板に直接つながっており、まぶたを持ち上げる筋肉のことです。ミュラータッキング法では皮膚を切らずに、上まぶたの裏へ糸を使って行うので、ダウンタイムを短く抑えられると言われています。まぶたの裏側を切っているので、見える範囲の傷跡は残らず、ナチュラルな仕上がりになるのも特徴でしょう。
仕事の都合で休みが取りにくい人には魅力的な治療法です。
眼瞼下垂術のデメリットとリスク
眼瞼下垂術のデメリットとリスクには、以下のようなものがあります。
- 眼の印象が変化する
- 眼の周りを触る治療法のため抵抗感がある
- 切除する皮膚の量によっては、まぶたの厚みが変わる
眼瞼下垂の治療では眼の開きを調整するので、目元の印象が少なからず変化します。そのため「目元の印象を変えたくない」「整形したと思われたくない」という人に眼瞼下垂術は、あまりおすすめできません。
目元が与える顔の印象は大きいので「印象が変わることが怖い」と感じる方も多いのです。「眼瞼下垂の改善をしたいけど不安……」という人は、目元の症例数が多いクリニックで相談してみてください。
眼瞼下垂の人で眉毛下切開ができる条件
眼瞼下垂は、まぶたの状態によって治療法が変わります。そのため、診察の際に見極めなければいけないので、眼瞼下垂=眉毛下切開が良いというわけではありません。
眼瞼下垂術と眉毛下切開の違い
眼瞼下垂術はまぶたを直接治療しますが、眉毛下切開は眉下のギリギリラインを切開してたるんだ皮膚を引き上げる治療法です。そのため、眼瞼下垂術と眉毛下切開では切開する箇所とアプローチする箇所が異なります。
また、眼瞼下垂術は保険適用になるのに対し、眉毛下切開は自由診療になる場合が多い治療法です。
眼瞼下垂 | 眉毛下切開 | |
---|---|---|
特徴 | ・上まぶたのたるんだ皮膚を二重のあたりで切り取って縫う ・挙筋腱膜を縫い縮める |
・眉毛の下ギリギリラインを切開して、まぶたのたるみを引き上げる |
切開カ所 | ・まぶたの二重あたり ・上まぶたの内側 |
・眉毛の下 |
メリット | ・眼を開ける範囲の改善が期待できる | ・自然な二重ラインを維持できる ・目元全体をスッキリできる |
デメリット | ・二重の上側が分厚くなりやすい ・目尻のたるみはとれない ・びっくり目になりやすい |
・傷跡が気になることがある ・医師の技術差が出やすい ・まぶたの引っ張り感が出る可能性がある |
眉毛下切開を受けるメリット
一般的な眼瞼下垂術ではなく、眉毛下切開を受ける場合のメリットは「目元の印象をできるだけ変えずに、ナチュラルな仕上がり」が期待できることです。
眼瞼下垂術は、二重ラインに沿って皮膚を引き上げる治療法なので、一重の人の場合は二重になるなど、治療後の目元の印象が大きく変わることもあります。
一方、眉毛下切開は眉毛の下ラインを切開して皮膚を引き上げる治療法です。本来の目元に戻ったようには感じますが、一重の人が二重になるような大きな変化はないと言われています。
また、眉毛の下ラインギリギリを切開するので、傷跡が目立ちにくいというメリットもあります。治療後しばらくは傷跡に赤みがある状態が続きますが、3ヵ月〜1年ほど※でパッと見ただけでは気づかれにくくなるでしょう。
ただし、傷跡が完全になくなるわけではありません。「自然な目元に仕上げたい」「眼の形は変えたくない」という方には、眉毛下切開がおすすめです。
※個人差があります。
眉毛下切開を受ける場合に考えられるデメリット
眉毛下切開にはデメリットもあります。
眉毛下切開を行うには、医師の高度な技術力が必要になるので、左右で切除する皮膚の幅が1ミリでもズレてしまうと、左右非対称になる可能性があるのです。もちろん、医師はまぶたの状態に合わせて、細心の注意をはらって治療を行いますが、絶対とは言い切れません。
また、眉毛下切開を受ける場合はダウンタイムがあり、1〜2週間は赤みが強く残りやすく、傷跡が目立ちにくくなるまで1〜3ヵ月ほど※かかると言われています。
眼瞼下垂の症状によっては、眉毛下切開では改善が難しい場合もあるので、どの治療法が自分に合っているかは、医師の診断を受けるようにしてください。
※ダウンタイムには個人差があります。
保険適用で眉毛下切開をするときに知っておくこと
眉毛下切開は、基本的に保険適用外の治療法です。眉毛下切開の目的の大多数が目元の見た目をととのえるという美容目的なので、自由診療になることが多いでしょう。
また、眼瞼下垂で保険適用の治療として眉毛下切開を受けられるケースは、医師が重度の眼瞼下垂と判断した場合のみと言われています。眉毛下切開は、どうしても美容目的という考え方が一般的なので、治療を考えている場合は保険適用外になることを前提に医師の診断を受けましょう。
もちろん、眉毛下切開を保険適用で受けられるケースもあります。ただし、その場合はデザイン云々ではなく、医学的な見地から皮膚を切除したり脂肪を取り除いたりするので、思い通りの仕上がりにならない場合もあることを知っておきましょう。
どうしても眉毛下切開で目元を治療したい場合は、保険適用外になることを考え、デザインを入念にシミュレーションすることがおすすめです。
まとめ
今回は、眉毛下切開が保険適用になるケースについてご紹介してきました。
眉毛下切開は、目元の外見をととのえる美容治療目的であることが多いので、基本的には保険適用外になることが多いと言われています。
一般的な眼瞼下垂術と眉毛下切開では、治療方法が違うので、治療を決める前によく確認してください。
目元は顔の印象を決める大切なパーツです。眼瞼下垂と診断を受けた場合は、さまざまな可能性を考えて、医師のアドバイスや推奨されている治療法の説明を受けて判断するようにしましょう。